「Sell in May」とは投資家にとって呪文のようだ。タイミングのいいことに、近年市場で見受けられる「夏の暴落」は今年もやってくるようだ。 これは長期投資家にとっては朗報だ。「低迷時に購入」という絶好の時期を待つことが出来るからだ。 今年の暴落は大きく長期間続きそうなので、過剰反応する必要はない。賢明な投資家は、株価が大きく下落する日まで資産をしっかり溜め込み、下落した数週間後に狙った株価を購入するまでだ。 このような株価ラリーは、株価上昇のきっかけとなるだろう。 暴落の直前に投資から抜け出し、最高のタイミングで戻るというのは非常に難しいことだ。しかし、「底」を感知するのは「天井」を予測よりも簡単だ。このような夏の暴落時には、市場はダブルボトムを形成することが多い。そのため、ダブルボトムは「底」を示す一般的なチャートと言えるだろう。 このように、真の底はいつ到来したか、又は最初の暴落はいつ終焉を迎えたかを見極めるために、投資家たちはしばらく時間をおいて待つことが出来る。投資家は指数の長期チャートをチェックし、暴落時や低迷時の傾向を見つけるべきだ。 質の良い株式を低迷時に購入することで、投資家は価値を生み出すことが出来る。良い株式と言っても暴落時にはその他の株式同様低迷するので、買いのチャンスとなる。 そして、最も悲惨な危機が見え始めた時に、売りを検討するのだ。 この悲惨な危機とはもちろん、長期に及ぶ信用危機と不景気を指している。しかし、信じられないかもしれないが、この危機は既に終焉を迎えている。フランスの新大統領だけが、景気回復を導くパワーを持っているのだが、新大統領となるであろうフランソワ・オランドが、この小根に対して何か対処するとは思えない。 金融抑制のためのメカニズム、財政赤字のサポート、貿易赤字の改善が思い通りに制御されてきているため、ユーロ危機は終焉を迎えた。欧州中央銀行(ECB)は、財政赤字を介して刺激をもたらす政府に対して融資している銀行に、無期限でお金を貸している。これは、政府債務、政府予算、銀行の流動性と支払能力など、ユーロを奈落の底に突き落としている問題から救っている。 さて、欠点はなんだろうか。 それは弱体したユーロとインフレだ。 ユーロは強いため、まだ増刷される余地がある。そしてインフレは、これらの借金を溶解するための単なる救済策に過ぎないのだ。 ヨーロッパの人々は、緊急財政に反対票を投じたままだ。ヨーロッパは社会化されているため、食い入るようなインフレにも動じない。インフレと貧しい経済管理によって起こる経済の落ち込みよりも、彼らの権利が失われることを、人々は心配している。 今、解決策が実行されようとしている。これは弱い国々が単一通貨から外されるリスクはほとんどない。つまり、ユーロがD-マークと同様のシナリオを辿っているため、ユーロがリラ、ドラクマ、ペセタのように低下してくだけだ。 この危機がスペイン、フランス、そして米国にまで到着するのは明らかだ。 それが早急に起こるべきだと思うが、そうはならないだろう。 経済において物事が進むのには時間がかかる。不可能と思われることが長期間続くので、今回の危機も、山火事のようにすぐにはフランスや米国には到達しないだろう。 そして更なるユーロ問題が発生するだろう。ユーロの低迷は仰天するほどになり、インフレは歯軋りの原因となるだろうが、これらはデフォルト危機や経済破裂とは異なるだろう。フランス新政権は、フランスの倦怠感を逆転させるような対応をするとは思われないため、フランスはでこぼこした時間を過ごすこととなるだろう。 問題は、この炎がいつ米国にたどり着くかということだ。 米国が債務の天井に到達するのは時間の問題で、それは選挙運動へと繋がるだろう。しかし、ロムニーが勝つことはなさそうだ。米国は、更なる巨大な負債を掘り起こすことに歯止めがかからないようだ。負債はGDPの100%を超え、毎年6%の割合で増え続けており、早急に対応が必要と思われる。 初期の兆候は、金利の上昇だ。米国の金利が上昇された時、次なる危機の到来を意味する。自由市場においてはこの危機はとうの昔に起こっていただろうが、現在の制御された市場では危機が到来するまでにまだ時間がかかるだろう。 我々は皆、ユーロ危機のような事態が米国では起こらないことを祈っている。しかし、貿易と財政の改善がない限り、これは避けられないだろう。 今のところ、欧州と米国における長期的な解決策とは、インフレによって密かに行われるデフォルトと金利の制御だ。この隠された税金は経済を枯れ果たすだろう。そしてこのプロセスの最後には、裕福層と貧困層の区別がなくなるだろう。 それはまたそれほど悪いことではないだろう。
3月
22
昨年に起きた株式市場の大混乱後、世界市場はユーロ危機の前の状態に戻りつつある。株価は徐々に上昇しており、欧州金融機関やEU加盟国の流動性に関する問題は解決されてきているので、市場には正常化ともいえる状況が戻ってきている。 しかしながら、一体何が解決されたのだろうか、という疑問を持たずにはいられない。ギリシャが債務の一部をリベースした一方で、その他欧州各国は、未だに貿易赤字や財政赤字に苦しまれているままだ。そうかと思えば米国では、新札を印刷し、自暴自棄状態で債務の頂上に向かって疾走している。 ちょっとしたぼろ隠しとしか言えない、この新札を印刷するという以外に、一体どんな変化があっただろうか。 もしユーロ危機が昨年の株価暴落を引き起こしたと言うならば、一昨年の暴落は何が原因だったのだろうか。信用危機が起こる前から、夏に定期的に発生するこれらの暴落は、一体何が原因なのだろうか。 古代の株式市場では「Sell in May and go away, come back on St Ledger Day [September 15th] - 5月に売ってSt Ledger day(9月15日)までは戻ってくるな」という言い伝えがある。これは、裕福層が夏に休暇へ出かけることが、夏場の暴落に起因していることを意味している。確かに古代の欧州ではそうであったのかもしれないが、現代のテクノロジーの時代に、中流や上流階級の休暇が理由で、この季節的な現象が起きるとは、どう考えても無理がある。 事実、アメリカ人は休暇を多く取ることで知られているが、それでも市場は活発である。 しかしながら、晩春から初夏にかけて大規模な市場分裂が始まるのが、再三見受けられる。 別の古い諺に、「trade what you see」というのがある。視覚的に、同じパターンは何度も何度も見られるということだ。 ということは、この夏また同じような暴落が起こるだろうか。 その可能性は大きいようだ。 もし休暇が理由ならば、暴落は避けられないが、真の理由は他にあるようだ。 これらの暴落が、ヘッジによって起こっている可能性が強いと確信する。先進国と発展途上国の巨大な貿易不均衡は、放置されているわけではなく、グローバル経済のヘッジにより守られている。これらのヘッジが初夏頃に行われ、株式市場に揮発性と混乱を引き起こすのだろうと推測する。 現代の取引は、高度な技術を用いて行われる。例えば、顧客のために通貨をヘッジする銀行は、顧客の資本を保護するために、一連の複雑なポジションを置く。 原油の産出国であれば、年間の貿易黒字は数十億ドルにもなり、米ドルといったような暴落でその価値が削られることのないよう、政府系投資ファンドを望むことだろう。 もし1兆ドルの貿易黒字を保護するために、何兆ドルものトレードを行うのであれば、この季節的なヘッジが市場を混乱させることが理解できるはずである。 今年の貿易収支は、昨年と比べてさほど変わりはない。これは恐らく、巨大なヘッジが流動性に影響を与えたことによって、株式が更なる打撃を受けているように、債券から離れた市場は、耐えることが出来るからだろう。 遠く離れた国々が貿易黒字を保とうとしているからと言って、工業企業の株価が20%下落することは奇妙に思うかもしれないが、現代の株式市場は、相関と裁定取引の法律によって連鎖されている。 グローバル市場は、お互いに接続された歯車で統一された、一つの機械なのだ。 つまり、この夏も株式市場は突然の暴落が予想され、当然のことながら、この暴落を説明するための物語を、あちこちで聞くことになるだろう。 更なるユーロ問題に関した記事を読むことになるかもかもしれない、あるいは、ソブリン債の格下げによる懸念で暴落は収まるかもしれない。はたまた、メディアはこのことについて全く言及しないかもしれない。いづれにせよ、もしまた夏の暴落があるのなら、それは中東やアジアで起こるだろう。 米国の総選挙は、非常に予想可能な市場のパターンを握っている。夏の暴落に続き、オバマ氏の再当選に役立つ秋の株価上昇だ。 もちろん、この揮発性の時代には、投資家は不測の事態を予測する必用がある。とは言っても、夏に暴落が起きず、秋に株価が上昇せず、ミット・ロムニーが米国の大統領に当選したら、それは非常に驚くべきことだろう。 この状況を変更するには、債券‘バブル’の終焉ということしか考えられない。債券のバブルが弾ければ株価は天井を突っ切るだろう。これが今年起こることはないだろうが、実際に起きた時、確立された季節的なパターンはこっぱ微塵となるだろう。
3月
15
先進国が貿易赤字を生み出し、発展途上国が黒字を生み出す。この一方的な経済の流れが、欧州や米国が衰える傍ら、ブラジル、ロシア、インド、中国という国々が飛躍的に繁栄するBRICs現象を生み出した。 そして、既に不利な立場にある欧州が、経済と財政政策の不始末の限界にたどり着いた時、全世界を巻き込む金融危機を生み出してしまった。 現在のところ、この事態は終焉を迎えたように見える。欧州中央銀行(ECB)による1兆ユーロの介入後、国債及び欧州の各銀行は安定し始めた。 2012年は、より一層統合された欧州合衆国が、更なる連邦化に向けて前進することとなるだろう。 この危機の指標となるのが、スペインとイタリアの国債利回り、そして円であった。スペイン及びイタリアの国債利回りが低くなればなるほど、そして円が弱くなればなるほど、欧州危機はコントロールされていくだろう。 一方、大西洋を渡った米国では、独自の信用危機の崖っぷちに立っている。 もちろん大統領選挙の年に崩れ落ちることはないだろうが、政府による信用収縮は近い将来やってくるだろう。米国の財政は制御不能状態で、5000億ドルの貿易赤字と1兆ドルの財政赤字を永遠に保持し続けることは、不可能であるからだ。 しかしながら、政府は相当長い時間をかけて、現状を維持していく必要があることは明らかだ。その過程で、多くの問題を生み出すことになったとしても。 米国は経済成長にブレーキをかける必要がある。さもなければ、株式市場がそういう方向へと自動的に導いていくだろう。経済成長が、暴走してしまった赤字に追いつくとは考えられないため、たとえそれがインフレを介していたとしても、危機の瞬間はいつかやってくる。 米国が浪費を辞めるか、はたまた株式市場により強制的に抑制された場合、発展途上国への資金フローは大幅に縮小されるだろう。 実際に、欧州での問題が、過去20年間において始めて、中国の国際収支に終わりを遂げた。 このように、米国において更なるレバレッジ解消が起こると、中国やその他BRIC諸国では暴落が起きることになるだろう。 このことは、より実用的なレベルの財政と貿易収支を取り戻すことが出来るのであれば、先進国にとってはそれほど悪いことではない。しかし、この解消はすぐに起こることではないだろう。 先進国は、キャピタル・フローの引き戻しを始めている。そのため、BRICs現象は、困難で延滞した経済の時代へと向かっていくだろう。 欧州がこの債務危機を本当に克服したのなら、この冬に起きた、世界市場を凍りつかせたような事態が二度と起こることのないような経済を、再編成することが出来るだろう。 うまくいけば、ギリシャのデフォルトと、欧州中央銀行による欧州金融セクターへの1000億ユーロの融資が、このサガに終わりを遂げることになるかもしれない。 しかしながら、もし危機が舞戻り、イタリア、スペイン、さらにはフランスをも襲うことになったら、米国は悲惨な目に合うだろう。 ただ、今日の株式市場を見る限り、このような事態が起こることはなさそうだ。 そうだとすれば、2013年の米国再編は遅延され、それ程トラウマ的ではないだろう。 これはまた、拡張しすぎた日本の財政危機が、欧州問題に関連付けて大騒ぎされることなく、解決されるかもしれない。 このようなソブリン問題が、今後5年間を悩ますこととなるだろう。 欧州と米国の競争力が低下し、効率力が低下すると、資金力格差は負債で埋められることになる。 一方、BRICs諸国は、規制緩和を続けている。貿易黒字からの資本と組み合わせての規制緩和は、更なる飛躍に繋がる。 発展途上国が栄えていく一方、先進国が困難に直面する。 何かが変わらなければ、現在の経済混乱を引き起こしたような、飽き飽きした不均衡が続くだろう。 米国と欧州が年度予算を整頓したとしても、ドイツが達成できたような、競争率の高い経済を再編成することができなければ、経済はより一層貧弱になるだけだろう。 中央銀行は多くの紙幣を印刷しているが、競争率の高い経済を再編成するという思考は、どこにも見えてこない。
1月
12
2012年はタイミングという点からとても興味深い年となるだろう。市場で好機を計るのは困難である。将来の展望が予測出来ても、予想以上にタイミングが早かったり遅かったりしてしまう。タイミングこそが全てだ。 マヤの予言では、2012年が世界の終焉だという事になっている。予言のお手本のように素晴らしく、絶対的に正しいのだが、残念な事にタイミングをひどくはずしている。マヤ文明にとっての終焉は2012年ではなく、1511年スペイン侵略の年、もしくは最後の都市が占領された1697年のはずだ。スペイン侵攻はマヤ文明の終焉であるが、予想より何百年も早く起こってしまったという事になる。 多くの金融の専門家はそろそろ終焉が来ると言うが、2012年に世界だけは終わらないので少しは胸を撫で下ろす事が出来そうだ。私の予測がたとえ間違っていても、誰も楽観論に文句を言えない事はありがたい。2013年にまだ、私たちが経済的に又は人類的に生き残っていたら、その時にはまた得意げに話させて頂こう。 肝心な事は、過去5年の大荒れの弱気市場が終わりそうかどうか、そして反転する機会が近づいているかどうかだが、個人的にはそう思う。 暗雲たちこめ、経済窮地に立たされる米国が、世界経済の行方のカギを握っているが、2011年には希望の光が見え始めた。そして現在は、正式な統計に表われるまでとなった。2010年は小規模企業にとり2011年よりも悪い年であったが、いわゆる家内工業のような企業に回復の兆候が現れたのだ。 この回復は微妙なので計測が難しいが、2011年、米国西海岸の定数世論調査では、2011年中期までには経済指標が上向きになり、その確証として同年末までには、嬉しい驚きが米国政府指数に表われてくるようになった。 この進展が継続性のあるものであれば、米国は回復の道をたどっていると言えるだろう。 残念ながら米国のこうした動きは、2007年以降、西洋諸国がバブル崩壊後の状態に突入し、BRICS(ブラジル/ロシア/インド/中国/南アフリカ)を救援できるという話とは関係ない。 繁栄、バブルそして崩壊は基本的なサイクルであり、市場では何度も繰り返される。長期的展望はきわめて明るいのだが、中期的には、バブルは必ず経済崩壊を伴う。途上国ではバブルが続いていたが現在は崩壊中である。サイクルは途上国でも同じように繰り返される。 米国の景気回復のスピードを予測するのには時期尚早で、その道のりは長くて険しく、理想の状態からはほど遠いと考えるのが妥当のようだ。インフレを起こし、政府関連事業の再調整にも着手し、現在順調な労働力の部分の緊縮も実施されるであろう。迅速かつ簡単で、痛みを伴わない復興はありえない。それでも、問題回避の道は、もっと困難な時代への下り道よりもまだよい選択肢であるはずだ。 株式市場は、債券と通貨の調整により動かされるが、これは今後も同じであろう。投資家のみなさんが私と同様に、10年以上続いた強含みの債券相場は終了すると予測されたら、代わりに株式市場に注目が集まるのは当然で、今後株価だけは上昇すると思う。 もし皆さんがインフレ率の上昇を確信するならば、みなさんも株価は堅調だと思われ、最低でも資産価値の減額を回避する為に何かを探される事だろう。 もしオバマ大統領の再当選を信じ、反対勢力もめぼしい人物がなく、彼に情勢が有利だと思われるのなら、株価にとっても良い年となるだろう。強気相場の年には、ほとんどの大統領は再選しているのが事実だ。 弱気市場でも、債券が堅調な相場の場合は、共和党が勝利を収め、市場の一層の混乱が予測される。弱含みの債券、米国のインフレ率の上昇とオバマ人気は株式市場の行く末を占う指標である。とりあえず現在地球が存在しているという事は、マヤ族は愚かではなかったという事だ。 以上が私の3つのシナリオだ。 株式好きで、米国政治にまったく関心のないイギリス人の私は、「オバマ大統領に一票を!」と叫ぶのであった。
12月
20
ユーロ通貨への移行は欧州連合への第一歩だと長い間言われ続けたが、この危機によりそれはいよいよ確信へと変化してきた。これは財政の強制的統合、つまり政治的連合を意味している。 今まさに、この政治的連合は現実に起こりつつある。ユーロ通貨制度という古い形態は危機に陥り、欧州諸国はその主権の巨大な損失の付けを払う事となる。 国家主義者はこの状態を慨嘆するだろうが、実際のところ近年、欧州には国家主義者も沢山は存在せず、多くの国とその国民は自分たちをヨーロッパ人だとみなし、更なる統合にも抵抗を感じてはいないのが現実である。 これからの動向だが、欧州連合が、ユーロ加盟国の財政予算を管理するか、最低でも加盟する国々がこの予算を勝手に動かせないようにするだろう。 お金は権力であり、最終的に財政予算が消滅すると、政治的権力が中央政府に集結する。これで現在の危機の核心が明らかにされる。ユーロ問題は、実は政治問題だという事なのだ。何が起ころうとも、経済危機の波紋は、政治的必要性の二次的な問題なのである。 中央銀行とその政策金利設定は、自由市場を管理する要であり、経済的問題がこのような結論に達するのも驚くべき事ではない。 10年来の低金利政策の付けで先進国の負債は巨大化し、欧州の社会モデルは肥大化した。そして、欧州各国の支払い能力を超えた負債を支えようと、世界中が高金利となってしまった。欧州連合加盟国は、統一通貨を使用しているために、金利調整が出来ない。ユーロ通貨諸国は“造幣”する事は出来ないし、欧州中央銀行の憲章に縛られ、通貨を調整する事も出来ない。そしてそもそも、ドイツはそれを好ましくは思わないであろう。 巨額の負債を抱える国にとって、ドイツのような順調なユーロ通貨連合メンバーからの救援が必須となる。 ドイツは、自ら財政予算を管理する権利を所有し、浪費家の欧州が彼らを破滅に追い込まなければ、このような国の救済に応じるであろう。 英国としては、問題山積のこの状態を好ましく思っていない。ドイツ合衆国またはドイツ支配下の欧州連合という概念自体がまず嫌いである。真の理由は地政学的な軽蔑以外ないのだが、もちろんこれも政治的理由に溢れている。他の理由としては、英国経済の20パーセントから25パーセントを占める金融セクターを、欧州が獲得するべく必死になっている様を感じるからである。 英国の政治家やメディアはここ数年、金融業界をあざ笑っているのでとても皮肉な事である。しかし、虐待配偶者のように、今、英国政府は裕福な妻を失うのを恐れている。欧州がロンドンから金融業界を奪い去り、失力した英国を半自治区として残しながら、全てをフランクフルトとパリに移し、ユーロを基軸とした欧州がその基礎の代表となり統合するという見解が怖いのだ。 投資家にとって疑問は山積する。果たしてこの政治的プロセスで欧州金融危機を救済出来るのか?またどう対応して投資すべきなのか? 今までの混乱の結果ははっきりと不況下のインフレ、「スタグフレーション」として現れる。欧州の殆どの国はGDPにおける政府歳出負担を軽減する金融緊縮案で、経済のバランスを取り戻そうとするであろう。最初は実体経済で容易に受け入れられない為、長期に渡り復興の兆しは見えてこないだろう。 間違いなくインフレが経済活動を高まる根拠となるが、山積した負債を消す為に、ドイツが欧州にインフレへの意義ある取組みをさせるかどうかは分からない。 インフレの度合いに応じて復興の長さが決定される。5パーセントから7パーセントのインフレ率だと5年の緊縮で改善され、2パーセントから3パーセントだと10年かそれ以上時間がかかる。 とりあえず、ユーロ通貨諸国が正式に政策に署名するか、国民投票を行うまで結論は出ないであろう。実際政策が可決されても、方向性によっては、破られるまでの政策となる。殆どの欧州各国に取り、10年もの経済停滞に耐えるのは非常に困難だ。という事で、この政策もそう長くは続くまい。 重要な経済指標はインフレ率で、それが上昇し始めると、投資家も真の復興の到来を確信出来るであろう。もしそうならなければ、欧州はユーロ高のまま日本のような経済の空白の時代に突入し、推測される限りの間、瀕死の経済状態が続く事となる。 欧州のソブリン債の利回りは上げ下げを繰り返し、政治家が合意するユーロ通貨諸国への資金供給を市場が拒否すれば、ユーロ通貨は壊滅し、欧州は1990年代に回帰するであろう。市場がスペイン、イタリア、ポルトガルそれぞれに、利回り5パーセント前後で資金提供する事に合意すれば、欧州合衆国時代の到来となる。
12月
7
ハルマゲドン 誰もが本当に期待して望むもの、それは金融最終戦争―ハルマゲドン―だ。結果としてドイツは、欧州が深刻な負債から脱出するのに必要なインフレを引き起こそうとする欧州中央銀行(ECB)を阻止する為には、何でもするだろう。そうなると、脆弱な国々のデフォルトとユーロ通貨からの脱却が相次いで起こり、フランスのように経済的に頑強な国々の屋台骨さえも破壊してしまう勢いとなるだろう。金融信用が崩壊し、殆どの西洋諸国では負債の決済が出来ない状態に陥り、借り手に打撃を与えるであろう。更には、金融緊縮は制御不可能となり、レバレッジ停止のブラックホールが出現する。世界規模のデフォルトは拡大し、一般の銀行は破綻し、完全なる経済崩壊が起こるとなると、金融石器時代に逆戻りだ。景気後退、不況、そして世界戦争がそれに続く。米国のどこかで、金塊と缶詰食品とデザートを備蓄した古い考えに固執する気難し屋達は、自分達の正当性を祝うのだ。これら全ては、ドイツの偏執的な考えによって引き起こされるのだ。 弱い国は去る 金融緊縮に直面して、民主的な基盤を押し進める必要もなくなり、ぶた(PIIGS)、おっとさておき、 ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン(欧州周辺国GIIPS)は、ユーロ債をデフォルトし、自国通貨を再導入するであろう。一見急激な変化に見えるが、つまり以前のビジネス形態に戻り、多額ではあるが、管理可能な範囲で借り入れをし、インフレという慢性的な手法で、時間を掛けて返済するという事だ。市場は愚かではないので、継続可能な高いレートで貸し、一方では、金融抑制が残りの事をする。以前もそれで効果があったので今度もうまく行くだろう。新しい自国通貨が崩壊し、自国の生活スタイルや物価が昔に戻る。混乱が2、3年続き、普通の状態の経済がそれに取って変わる。「デフォルト」となると、貸し手の記憶は曖昧だ。ロシアは1998年にデフォルトしたが、それがどうしたというのだ?おそらく10年後には、ユーロ通貨への再加入が検討されるに違いない。現在のユーロ通貨の状態だとこういうシナリオになるだろう。 脆弱な国が去ると、ユーロは堅調に推移し、まだまだ強くなるだろう。ユーロは強いので、弱い国は立ち去る事になるのだ。 強い国も去る 欧州はインフレを望んでいるが、ドイツは望んでいない。ドイツはマルクを愛しユーロに思い入れはない。ではなぜ、ユーロ通貨を離れて、残りの欧州にインフレを導入させないのか?第三者には理解に苦しむところだ。ドイツの見解も狂気じみていて、インフレは悪魔であり、ファシズムを産むと信じているようだ。不思議な事に、フランスでは18世紀に、パンの値段が社会革命を発明したと考えられている。そしてドイツでは、インフレがファシズムを産んだと考えられているのだ。ムッソリーニが異議を唱えそうな感じである。 実際にはドイツが、ドイツ、オランダ、フィンランド、そしてバチカンのみをユーロ通貨に残すという、欧州の決裂を生み出している。どうしていっその事、ユーロ通貨を辞退して、経済暴徒にまかせ、自国通貨を印刷させる道を取らないのか。ドイツは最愛のマルクを取り戻し、残りの国は、望みどおりインフレを導入することが出来る。これは債券の保有者にとって、どんな事態においても起こる債務削減に等しいのだ。ただ、玉にきずなことに、もしこういった事態が起こるとすれば、ユーロ通貨の価値は既に顕著なほど暴落しているはずである。しかし、今のところユーロは強気だ。 緊密なユーロ統合 ドイツとフランスはどうにかして皆を話し合いの席に着かせる。そして、各国に、中央支出の権限を放棄すべきだという理由を説明し、ブルッセルの中央監督にその権限を引き継がせようと企んでいる。同時に、最高責任者一人一人に、国民投票をする必要もないという事を説得している。欧州の経済は灼熱地獄をのぞき込んでおり、彼らは失職する可能性もあるため、“メルコジ”(メルケル首相+サルコジ大統領)による、欧州合衆国への大きな第一歩となる欧州統合強化に、同感しているのである。 ギリシャのような不安定な国々へは強制力が必要であるが、民主主義を侵害したり平和を揺るがすような民主主義運動であってはならない。そしてドイツは欧州全体の負債を事実上保証するだろう。見返りとして、PIIGSの喉元をつかみ、身動きが取れないようにして、PIIGSの支出方針の制御を穏やかにコントロールするのだ。 平常への回復 では、今まで実際に何が起こったのか?ギリシャだが、ここ何年も破産状態だったのは周知の事実で、国債の貸し手をひどい目に合わせ、多くの欧州の貸し手を震撼させた。 もはや誰からも借り入れが出来なくなり、その“プレイボーイ”的なライフスタイルを改める必要がある。ともに地中海的なプレイボーイであるイタリアとスペインも、体制を整える為に7%の利子を払い始めている。しかしこの金利はかつては正常な値と考えられていたのだ。もう1人の悪者は14%を払っていたアイルランドで、これは、英国とスウェーデンが一昔前に苦しめられた数値だが、現在では8%となっている。数週間前よりも格段低くなっている。 これは世界の終わりではないかもしれない。単に金利が長期的な正常値に戻って来ているだけかも知れない。 政治家達が長い話し合いを持つ機会を得る事が出来るのなら、予算をより適切に形作り、借金返済を開始するのに充分なインフレを誘導する事に着手し、怯えた借り手を安心させる為、収支手帳の帳尻を合わすのに最大限努力するだろう。そうすると、貸し手も現金を金塊で保有し、缶詰食品を備蓄しネバダ州の砂漠地帯に籠るのはちっとも面白くないと悟るであろう。特に米国は欧州よりさらに事態が深刻なのだから。
11月
30
ユーロ債務危機が終焉を迎えたかのかどうかはもちろん、実際に始まったのかさえ判断することは難しい。ここ数日間の展望は全く叙事的である。アイルランド、ポルトガル、そして自滅したギリシャの救済は金融序曲さながらであり、イタリアを交えて、エキサイティングな音節へと登りつめている。しかし、実はオペラはまだ始まってもいないのだ。(159文字) 経済について限定すると、この世界の殆どの人は歴史的な瞬間を経験していない。皆さんは、平和と静寂な数十年間を過ごしてきている。このひどく恐ろしい状況は、必ずと言っていいほど悪化するだろうが、数世代前の人々にとっては、現在の状態は単なる波打ち際で音を立てている水にすぎないだろう。先進国の殆どの人は危機の本当の意味を理解していないが、だからといって危機がやってこないわけではないのだ。 嵐の前の静けさの欧州 カウボーイがインディアンの領土にキャンプを張ると、民兵隊の老人は、「いや本当に静かだ。静かすぎる程静かだ。」と言う。この静けさが、これから起こる戦いの前触れなのである。 先週はまさにそうだった。静寂の週。特別な会議もなければ、強さと連帯を示す特別のショーもなかった。指導者が台の上に立ち、「危機はここで止まる。」と発表する事もなかった。その代わり、提案された内容がマスコミから漏洩してしまうという事があった。 特定の観点から、これは歓迎された。すべての二流の欧州政府体質者達は、 ユーロ債務危機についての個人政策発言を通じ、さらに混乱と狼狽を物語に追加してしまった。現代の政治では、救世主なる者のみが発言し、そして皆それに合意する。これに反すると、国家レベルでの政治生命は終わってしまうが、欧州レベルでは、この法則は既に崩壊してしまっている。 この新たな静寂は、恐怖が現実のものになってきているから起こっているのだ。実際、現実に直面すると、人々は、誇張された言葉で後世語り継がれる事を恐れるものだ。 ドイツの本当の内情 ドイツは、超低金利を享受しており、債券保有者はドイツの安全性に駆け込んでいる。欧州の経済大国であるために、皆ドイツを混乱した欧州の救世主として見ているのだ。そのドイツも、経済の要塞とは言われていても、多くの推定論がそうであるように、実際のところは調査するとそうでもないのである。 ドイツは正確には破産してないが、GDPの 80%の負債を負っていて、そのGDPの 40%は政府支出であるため、実質のGDPの 150%が負債である。GDPには政府支出が含まれるが、政府は富を生産する事はなく、富を再配布するだけである。債務は民間部門の税収から返済され、GDPの 数字は驚く程誤解されていて、負債は実際にはもっと多いのである。 欧州という一枚布にほころびが生じると、債券の買い手はもはや、2%ではドイツ債券を熱心に購入しなくなってしまった。ここまで来ると、現金をCDS(クレジットデフォルトスワップ)することが出来、現地通貨の基盤が崩れることがない国へ持ち出す方が賢明だろう。 しかし、これにあまり夢中になるべからずだ。というのも、今年の始め、ドイツは10年債に3.5% の金利を払っていたため、実際には貸し手も2%という数字に尻込みしていて、驚く事ではないからだ。 しかしながら、これは債券危機という骨張った指先が、非PIIGSの経済という肉を傷つけ始めた事を意味している。フランスは明らかに、伝染病の発症を感じていて、フランスが駄目になると、最終ゲームが開始される。 不思議なのは、どうしてドイツはフランスを安全地帯に引き上げないのかということだ。そうした事を考えると、益々ドイツ自体が安全逃避の場所だとは感じていない、という結論にたどり着く。ドイツは誰も救えないどころか、自分を守る事で精一杯なのだと。一方では、米国にはそのような不安はない。欧州でドルの資金を入手出来るようにするため、ドルのスワップ機能で救助に乗り出しているからだ。この手の大きな明るい見通しは、欧州がドイツから期待していたものだが、そんな事はまず実現しないだろう。 欧州メルトダウンの始まりか? ドイツは崩壊していないが米国はしている、と皮肉をいう人もいるだろう。米国の破産した紙幣で出来た大建築物は、約束という言葉だけの後ろ盾に支えられつつも、つじつまを合わせ、なんとか建ちながらえている一方で、昔ながらのスタイルで経済を安定させ、慎重な経済姿勢を保つ事で、ドイツはバランスを取って来た。しかし、もし取引相手国が潰れてしまえば、ドイツは非常に苦しむことになるだろう。そして債務への資金提供のために7-9%の金利となり、景気後退に見舞われるだろう。 前述の話は既に過去のもので、現在のドイツ政府だが、欧州を救済すれば、その力を失うだろう。国民の希望に反し、正しい事をするという原則に基づき去っていく政治家も出てくるだろう。 私たちが奇跡を祈る一方で、欧州は、今からイースターの間には、金利上昇というゆっくりとした雪崩により、メルトダウンするであろう。オペラと同様で、このドラマにはハッピーエンドがなさそうだ。ソプラノ歌手のメルケル首相は、劇の構想中に自分の演技がもたらす結果に集中すべきなのだが、そんな事はしないだろう。
10月
17
今後の世界市場の動向が予測出来ない状態にあり、株価の激しい動きが際立っている。NYダウ、DAX、Cac 40、そしてFTSEにおいては、全て振れ幅が大きくなっている。市場は、先物取引であれ、FX、債券、オプションであれ全てトラウマに陥っている様子だ。 市場は回復するのか?それとも破綻するのか?それはまだ分からないようだ。 どうして現在このような状態なのか。その主な理由は、最悪の事態に陥った時に起こりうる事の、とてつもない規模の大きさだ。 ヨーロッパが、政治的な駆け引きの為に市場を破綻させる事はありえないと誰もが確信している。しかしながら、ヨーロッパ信用危機への明確な解決策は未だに打ち出されてはいない。“狂気”は混迷の状態からの解決の糸口を見つけられない時に起こると言われている。 この混乱から抜け出す方法が見つからない場合の結果を恐れ、市場は混乱してしまったのだ。
9月
7
ここ2年、夏になると、大きな反発やクラッシュが起きている。原因を解明しようと議論はされるが、ふた夏とも、はっきりした理由は分からないままだ。 ヨーロッパの問題が原因と言えば非常に説得力はある。もしユーロが崩壊したら混乱を引き起こすからだ。しかし、実際のところ、ユーロはそれほど下落していないので、この説明には当てはまらない。 ユーロが強含みの中、将来崩壊する恐れがあるという理由で市場がクラッシュするだろうか?全くおかしな話だ。この論理を進めるには、ユーロが弱くなくてはいけないが、実際のところ、ユーロは強い。 では、今、市場で何が起こっているのかを推理してみると、増刷されているドルが、中国やインド等の債権国に流れ着いているのが分かる。 もし皆さんが中国やインドの立場だとすると、どう対処されるだろうか?皆さんは、制御不能な財政に苦しむ国の、巨大なドル袋を抱えている。誰の目にも明らかな程、ドルの価値は減る一方だ。そこで、親切な投資銀行に電話してみると、銀行は一年分の全額5000億ドルをヘッジしてくれると言うだろう。 そうすることによって、金、円、スイスフランなど、ヘッジに使用するものに対して色々と混乱を引き起こすだろう。でもひとつだけ言えるのは、米国が破産する時には、この巨大なドル袋を抱えていたくないという事だ。米国には、一家族につき20万ドル程の債務があり、その額は急速に膨れている。紙吹雪同然の米ドルを他の資産に換える事が出来るのならば、市場を混乱させる事など構わない。 今現在、前述のような事が市場で起こっているのだと推測する。だから、問題が山積するユーロでさえも、米ドル切り下げからの安全への回避場所となっているのだろう。 ところで、米国の有名なギャンブルの都、ラスベガス、別名「罪の街」から悪い知らせがある。 個人的経験に基づくのだが、ラスベガスで、一国に特化した外国人をたくさん見かけた翌年には、その国の経済がことごとく打撃を受けてきた。例えば、ロシアがデフォルトする前年には、ロシア人の集団がはびこっていたし、アジアの金融恐慌が起こる前年には、タイ人と韓国人の集団が群れをなしていた。今年ラスベガスでどんな集団を見るかで、翌年のその国の経済が火の車となる。1999年にはオタクがはびこり、さて、翌年何が起こったか?ドットコム・ブームのバブルが弾けた。 さて、ここからが怖い話。先週末、ラスベガスは日本人で溢れかえっていた。ラスベガス家電ショー(CES Show)以外でこんなに多くの日本人を見かけた事はなかったので正直驚いた。地元の人に聞くと、日本人はギャンブルはせず、写真だけ撮るという。それで満足なのか?そんな事はないだろう。 日本の国家の負債はGDP率にすると200%となり、一家族毎の割当は正常値からかけ離れている。これは、アイルランドとポルトガルが、順調に回復しているように思える程の悪い数値である。日本は特別で大丈夫だと色々と弁明されているが、個人的にはそうは思えない。おしゃれな日本人がベラジオのカジノを闊歩するのを見たその日、小さなオーメン・ノートに 「2012年、日本の債務危機が列島を震撼させる。」と書き記した。 もしそうなったら、日本の従来の政治と経済のシステムは崩壊するだろう。難問を抱える事となるが、同時にそれは、千載一遇のチャンスでもある。結局、今年ラスベガスで大量の日本人を見て良かったのかも知れない。日本では今多くの変化が求められている。特に若い世代は変化を所望している。
8月
11
現代社会の理想郷、ユートピア。ここでは、みんな幸せで満たされている。その昔、国王、王の家族、その友人達にあらゆる物を貢ぐ為に社会は形成され、百姓は奴隷で動物のように扱われ、重労働を強いられた。時が経ち、一見すると社会構成はよい方向に変化していると見受けられるが、記憶に刻み込まれているためか、同じ心因が、役人と一般人の間に働いている。 どんな国でも国民は、政府関係者か、そうではないか、のどちらかに属する。王か農奴か。公使か労働者か。果物を食べる側か、それとも作る側か。 この社会構造がフェアかどうか道徳の話はさておき、経済の話をしよう。この社会構造の変化が経済に影響し、今まさに先進諸国の車輪が脱輪しそうな危うい状態にあるのだ。 政府関係者を雇用しても、資産が増える訳でもなく、反対に債務を負う事となる。どんなにその人が善良でも、よい看護婦でも、有能な国税徴収官でも、優秀な警察官でも、従業員は財を直接は産み出さない。その人が離職した職場、例えば、農業、漁業、車工場で、その人が生産してきた資産はそこでストップし、生産する代わりに資源の消費者側にまわる。経済的に悪循環に聞こえるが、こうする必要はないはずだ。 ご承知の通り、小さすぎる政府は良くないが、大きすぎるのもまた具合が悪いものだ。ほどよく、会計と収支、資産と負債、支出と収入のバランスが取れているのが望ましい。 日本、米国、欧州を例に取ると、一般諸経費が恐ろしいほどに収入を上回る状態になっている。先進諸国をひとつの会社として例えるとかなり悪い状態で、急速に破産へと進んでいるように見受けられる。 そこで解決方法だが、羊の方を番犬よりも多くする事。政府関係の仕事を減らし、プライベートセクターの仕事を増やす事。すなわち、コストを減らし、収入を増やす事が必要だ。これが先進国での負債問題解決の急務だと考える。 日本、ドイツ、そしてある意味フランスも、貿易黒字が負債の補填に一役買っているが、残りの米国、英国、スペイン他は貿易赤字がアダとなり苦しんでいる。末期的な下げに効く唯一の方法は、国の労働分布の再構築しかない。日本も国の借金が膨れ上がり続けると、同じ問題に直面するだろう。 大恐慌で苦しむ時、日本は色々な意味で手本となりえる。ロストジェネレーション(失われた世代)は、バブル崩壊後の経済再構築は悪い例だと欧米諸国からは見られている。それに比べると、ロシアや南米での経済再構築は緩衝材を叩いているかのごとく、痛みを伴わなかった。 脆弱な政治家達は、レーガン、サッチャーの時代のような、短期ショック療法ではなく、長期的鈍痛を伴う治療を選択するであろう。 そうすると非常に悪いニュースだが、今後も続くと思われる米国債の格下げは、時代の転換期を示している。速急に方策を講じなければ、今までに経験した事のない不況がやって来るだろう。それを避ける方法は、、、、、、、 インフレを調整せず野放し状態にして、数字すべてを無意味にする事だろうか。効果的なのはこの方法がベストだろう。5年から10年の間には、インフレ効果が出るはずだ。ジンバブエでさえもこの方法を実行出来ているじゃないか。歴史のはじまりからインフレは頼りにされているのだ。 いずれにせよ、向こう数ヶ月から多分1、2年のうち徐々に明るみに出て来るであろう。小手先の技巧は次々に襲いかかる危機には太刀打ちできない。 金融恐慌最終ゲームが始まった。
