金融エキスパート, Clem Chambersによる市場分析 – Business reflections of a hairy barbarian

ハルマゲドン

誰もが本当に期待して望むもの、それは金融最終戦争―ハルマゲドン―だ。結果としてドイツは、欧州が深刻な負債から脱出するのに必要なインフレを引き起こそうとする欧州中央銀行(ECB)を阻止する為には、何でもするだろう。そうなると、脆弱な国々のデフォルトとユーロ通貨からの脱却が相次いで起こり、フランスのように経済的に頑強な国々の屋台骨さえも破壊してしまう勢いとなるだろう。金融信用が崩壊し、殆どの西洋諸国では負債の決済が出来ない状態に陥り、借り手に打撃を与えるであろう。更には、金融緊縮は制御不可能となり、レバレッジ停止のブラックホールが出現する。世界規模のデフォルトは拡大し、一般の銀行は破綻し、完全なる経済崩壊が起こるとなると、金融石器時代に逆戻りだ。景気後退、不況、そして世界戦争がそれに続く。米国のどこかで、金塊と缶詰食品とデザートを備蓄した古い考えに固執する気難し屋達は、自分達の正当性を祝うのだ。これら全ては、ドイツの偏執的な考えによって引き起こされるのだ。

弱い国は去る

金融緊縮に直面して、民主的な基盤を押し進める必要もなくなり、ぶた(PIIGS)、おっとさておき、 ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン(欧州周辺国GIIPS)は、ユーロ債をデフォルトし、自国通貨を再導入するであろう。一見急激な変化に見えるが、つまり以前のビジネス形態に戻り、多額ではあるが、管理可能な範囲で借り入れをし、インフレという慢性的な手法で、時間を掛けて返済するという事だ。市場は愚かではないので、継続可能な高いレートで貸し、一方では、金融抑制が残りの事をする。以前もそれで効果があったので今度もうまく行くだろう。新しい自国通貨が崩壊し、自国の生活スタイルや物価が昔に戻る。混乱が2、3年続き、普通の状態の経済がそれに取って変わる。「デフォルト」となると、貸し手の記憶は曖昧だ。ロシアは1998年にデフォルトしたが、それがどうしたというのだ?おそらく10年後には、ユーロ通貨への再加入が検討されるに違いない。現在のユーロ通貨の状態だとこういうシナリオになるだろう。
脆弱な国が去ると、ユーロは堅調に推移し、まだまだ強くなるだろう。ユーロは強いので、弱い国は立ち去る事になるのだ。

強い国も去る

欧州はインフレを望んでいるが、ドイツは望んでいない。ドイツはマルクを愛しユーロに思い入れはない。ではなぜ、ユーロ通貨を離れて、残りの欧州にインフレを導入させないのか?第三者には理解に苦しむところだ。ドイツの見解も狂気じみていて、インフレは悪魔であり、ファシズムを産むと信じているようだ。不思議な事に、フランスでは18世紀に、パンの値段が社会革命を発明したと考えられている。そしてドイツでは、インフレがファシズムを産んだと考えられているのだ。ムッソリーニが異議を唱えそうな感じである。

実際にはドイツが、ドイツ、オランダ、フィンランド、そしてバチカンのみをユーロ通貨に残すという、欧州の決裂を生み出している。どうしていっその事、ユーロ通貨を辞退して、経済暴徒にまかせ、自国通貨を印刷させる道を取らないのか。ドイツは最愛のマルクを取り戻し、残りの国は、望みどおりインフレを導入することが出来る。これは債券の保有者にとって、どんな事態においても起こる債務削減に等しいのだ。ただ、玉にきずなことに、もしこういった事態が起こるとすれば、ユーロ通貨の価値は既に顕著なほど暴落しているはずである。しかし、今のところユーロは強気だ。

緊密なユーロ統合

ドイツとフランスはどうにかして皆を話し合いの席に着かせる。そして、各国に、中央支出の権限を放棄すべきだという理由を説明し、ブルッセルの中央監督にその権限を引き継がせようと企んでいる。同時に、最高責任者一人一人に、国民投票をする必要もないという事を説得している。欧州の経済は灼熱地獄をのぞき込んでおり、彼らは失職する可能性もあるため、“メルコジ”(メルケル首相+サルコジ大統領)による、欧州合衆国への大きな第一歩となる欧州統合強化に、同感しているのである。

ギリシャのような不安定な国々へは強制力が必要であるが、民主主義を侵害したり平和を揺るがすような民主主義運動であってはならない。そしてドイツは欧州全体の負債を事実上保証するだろう。見返りとして、PIIGSの喉元をつかみ、身動きが取れないようにして、PIIGSの支出方針の制御を穏やかにコントロールするのだ。

平常への回復

では、今まで実際に何が起こったのか?ギリシャだが、ここ何年も破産状態だったのは周知の事実で、国債の貸し手をひどい目に合わせ、多くの欧州の貸し手を震撼させた。

もはや誰からも借り入れが出来なくなり、その“プレイボーイ”的なライフスタイルを改める必要がある。ともに地中海的なプレイボーイであるイタリアとスペインも、体制を整える為に7%の利子を払い始めている。しかしこの金利はかつては正常な値と考えられていたのだ。もう1人の悪者は14%を払っていたアイルランドで、これは、英国とスウェーデンが一昔前に苦しめられた数値だが、現在では8%となっている。数週間前よりも格段低くなっている。

これは世界の終わりではないかもしれない。単に金利が長期的な正常値に戻って来ているだけかも知れない。

政治家達が長い話し合いを持つ機会を得る事が出来るのなら、予算をより適切に形作り、借金返済を開始するのに充分なインフレを誘導する事に着手し、怯えた借り手を安心させる為、収支手帳の帳尻を合わすのに最大限努力するだろう。そうすると、貸し手も現金を金塊で保有し、缶詰食品を備蓄しネバダ州の砂漠地帯に籠るのはちっとも面白くないと悟るであろう。特に米国は欧州よりさらに事態が深刻なのだから。

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