金融エキスパート, Clem Chambersによる市場分析 – Business reflections of a hairy barbarian

ユーロ債務危機が終焉を迎えたかのかどうかはもちろん、実際に始まったのかさえ判断することは難しい。ここ数日間の展望は全く叙事的である。アイルランド、ポルトガル、そして自滅したギリシャの救済は金融序曲さながらであり、イタリアを交えて、エキサイティングな音節へと登りつめている。しかし、実はオペラはまだ始まってもいないのだ。(159文字)

経済について限定すると、この世界の殆どの人は歴史的な瞬間を経験していない。皆さんは、平和と静寂な数十年間を過ごしてきている。このひどく恐ろしい状況は、必ずと言っていいほど悪化するだろうが、数世代前の人々にとっては、現在の状態は単なる波打ち際で音を立てている水にすぎないだろう。先進国の殆どの人は危機の本当の意味を理解していないが、だからといって危機がやってこないわけではないのだ。

嵐の前の静けさの欧州

カウボーイがインディアンの領土にキャンプを張ると、民兵隊の老人は、「いや本当に静かだ。静かすぎる程静かだ。」と言う。この静けさが、これから起こる戦いの前触れなのである。

先週はまさにそうだった。静寂の週。特別な会議もなければ、強さと連帯を示す特別のショーもなかった。指導者が台の上に立ち、「危機はここで止まる。」と発表する事もなかった。その代わり、提案された内容がマスコミから漏洩してしまうという事があった。

特定の観点から、これは歓迎された。すべての二流の欧州政府体質者達は、 ユーロ債務危機についての個人政策発言を通じ、さらに混乱と狼狽を物語に追加してしまった。現代の政治では、救世主なる者のみが発言し、そして皆それに合意する。これに反すると、国家レベルでの政治生命は終わってしまうが、欧州レベルでは、この法則は既に崩壊してしまっている。

この新たな静寂は、恐怖が現実のものになってきているから起こっているのだ。実際、現実に直面すると、人々は、誇張された言葉で後世語り継がれる事を恐れるものだ。

ドイツの本当の内情

ドイツは、超低金利を享受しており、債券保有者はドイツの安全性に駆け込んでいる。欧州の経済大国であるために、皆ドイツを混乱した欧州の救世主として見ているのだ。そのドイツも、経済の要塞とは言われていても、多くの推定論がそうであるように、実際のところは調査するとそうでもないのである。

ドイツは正確には破産してないが、GDPの 80%の負債を負っていて、そのGDPの 40%は政府支出であるため、実質のGDPの 150%が負債である。GDPには政府支出が含まれるが、政府は富を生産する事はなく、富を再配布するだけである。債務は民間部門の税収から返済され、GDPの 数字は驚く程誤解されていて、負債は実際にはもっと多いのである。

欧州という一枚布にほころびが生じると、債券の買い手はもはや、2%ではドイツ債券を熱心に購入しなくなってしまった。ここまで来ると、現金をCDS(クレジットデフォルトスワップ)することが出来、現地通貨の基盤が崩れることがない国へ持ち出す方が賢明だろう。

しかし、これにあまり夢中になるべからずだ。というのも、今年の始め、ドイツは10年債に3.5% の金利を払っていたため、実際には貸し手も2%という数字に尻込みしていて、驚く事ではないからだ。

しかしながら、これは債券危機という骨張った指先が、非PIIGSの経済という肉を傷つけ始めた事を意味している。フランスは明らかに、伝染病の発症を感じていて、フランスが駄目になると、最終ゲームが開始される。

不思議なのは、どうしてドイツはフランスを安全地帯に引き上げないのかということだ。そうした事を考えると、益々ドイツ自体が安全逃避の場所だとは感じていない、という結論にたどり着く。ドイツは誰も救えないどころか、自分を守る事で精一杯なのだと。一方では、米国にはそのような不安はない。欧州でドルの資金を入手出来るようにするため、ドルのスワップ機能で救助に乗り出しているからだ。この手の大きな明るい見通しは、欧州がドイツから期待していたものだが、そんな事はまず実現しないだろう。

欧州メルトダウンの始まりか?

ドイツは崩壊していないが米国はしている、と皮肉をいう人もいるだろう。米国の破産した紙幣で出来た大建築物は、約束という言葉だけの後ろ盾に支えられつつも、つじつまを合わせ、なんとか建ちながらえている一方で、昔ながらのスタイルで経済を安定させ、慎重な経済姿勢を保つ事で、ドイツはバランスを取って来た。しかし、もし取引相手国が潰れてしまえば、ドイツは非常に苦しむことになるだろう。そして債務への資金提供のために7-9%の金利となり、景気後退に見舞われるだろう。

前述の話は既に過去のもので、現在のドイツ政府だが、欧州を救済すれば、その力を失うだろう。国民の希望に反し、正しい事をするという原則に基づき去っていく政治家も出てくるだろう。

私たちが奇跡を祈る一方で、欧州は、今からイースターの間には、金利上昇というゆっくりとした雪崩により、メルトダウンするであろう。オペラと同様で、このドラマにはハッピーエンドがなさそうだ。ソプラノ歌手のメルケル首相は、劇の構想中に自分の演技がもたらす結果に集中すべきなのだが、そんな事はしないだろう。

コメント

コメントする