金融エキスパート, Clem Chambersによる市場分析 – Business reflections of a hairy barbarian

2012年はタイミングという点からとても興味深い年となるだろう。市場で好機を計るのは困難である。将来の展望が予測出来ても、予想以上にタイミングが早かったり遅かったりしてしまう。タイミングこそが全てだ。

マヤの予言では、2012年が世界の終焉だという事になっている。予言のお手本のように素晴らしく、絶対的に正しいのだが、残念な事にタイミングをひどくはずしている。マヤ文明にとっての終焉は2012年ではなく、1511年スペイン侵略の年、もしくは最後の都市が占領された1697年のはずだ。スペイン侵攻はマヤ文明の終焉であるが、予想より何百年も早く起こってしまったという事になる。

多くの金融の専門家はそろそろ終焉が来ると言うが、2012年に世界だけは終わらないので少しは胸を撫で下ろす事が出来そうだ。私の予測がたとえ間違っていても、誰も楽観論に文句を言えない事はありがたい。2013年にまだ、私たちが経済的に又は人類的に生き残っていたら、その時にはまた得意げに話させて頂こう。

肝心な事は、過去5年の大荒れの弱気市場が終わりそうかどうか、そして反転する機会が近づいているかどうかだが、個人的にはそう思う。

暗雲たちこめ、経済窮地に立たされる米国が、世界経済の行方のカギを握っているが、2011年には希望の光が見え始めた。そして現在は、正式な統計に表われるまでとなった。2010年は小規模企業にとり2011年よりも悪い年であったが、いわゆる家内工業のような企業に回復の兆候が現れたのだ。

この回復は微妙なので計測が難しいが、2011年、米国西海岸の定数世論調査では、2011年中期までには経済指標が上向きになり、その確証として同年末までには、嬉しい驚きが米国政府指数に表われてくるようになった。

この進展が継続性のあるものであれば、米国は回復の道をたどっていると言えるだろう。

残念ながら米国のこうした動きは、2007年以降、西洋諸国がバブル崩壊後の状態に突入し、BRICS(ブラジル/ロシア/インド/中国/南アフリカ)を救援できるという話とは関係ない。

繁栄、バブルそして崩壊は基本的なサイクルであり、市場では何度も繰り返される。長期的展望はきわめて明るいのだが、中期的には、バブルは必ず経済崩壊を伴う。途上国ではバブルが続いていたが現在は崩壊中である。サイクルは途上国でも同じように繰り返される。

米国の景気回復のスピードを予測するのには時期尚早で、その道のりは長くて険しく、理想の状態からはほど遠いと考えるのが妥当のようだ。インフレを起こし、政府関連事業の再調整にも着手し、現在順調な労働力の部分の緊縮も実施されるであろう。迅速かつ簡単で、痛みを伴わない復興はありえない。それでも、問題回避の道は、もっと困難な時代への下り道よりもまだよい選択肢であるはずだ。

株式市場は、債券と通貨の調整により動かされるが、これは今後も同じであろう。投資家のみなさんが私と同様に、10年以上続いた強含みの債券相場は終了すると予測されたら、代わりに株式市場に注目が集まるのは当然で、今後株価だけは上昇すると思う。

もし皆さんがインフレ率の上昇を確信するならば、みなさんも株価は堅調だと思われ、最低でも資産価値の減額を回避する為に何かを探される事だろう。

もしオバマ大統領の再当選を信じ、反対勢力もめぼしい人物がなく、彼に情勢が有利だと思われるのなら、株価にとっても良い年となるだろう。強気相場の年には、ほとんどの大統領は再選しているのが事実だ。

弱気市場でも、債券が堅調な相場の場合は、共和党が勝利を収め、市場の一層の混乱が予測される。弱含みの債券、米国のインフレ率の上昇とオバマ人気は株式市場の行く末を占う指標である。とりあえず現在地球が存在しているという事は、マヤ族は愚かではなかったという事だ。
以上が私の3つのシナリオだ。

株式好きで、米国政治にまったく関心のないイギリス人の私は、「オバマ大統領に一票を!」と叫ぶのであった。

ユーロ通貨への移行は欧州連合への第一歩だと長い間言われ続けたが、この危機によりそれはいよいよ確信へと変化してきた。これは財政の強制的統合、つまり政治的連合を意味している。

今まさに、この政治的連合は現実に起こりつつある。ユーロ通貨制度という古い形態は危機に陥り、欧州諸国はその主権の巨大な損失の付けを払う事となる。

国家主義者はこの状態を慨嘆するだろうが、実際のところ近年、欧州には国家主義者も沢山は存在せず、多くの国とその国民は自分たちをヨーロッパ人だとみなし、更なる統合にも抵抗を感じてはいないのが現実である。

これからの動向だが、欧州連合が、ユーロ加盟国の財政予算を管理するか、最低でも加盟する国々がこの予算を勝手に動かせないようにするだろう。

お金は権力であり、最終的に財政予算が消滅すると、政治的権力が中央政府に集結する。これで現在の危機の核心が明らかにされる。ユーロ問題は、実は政治問題だという事なのだ。何が起ころうとも、経済危機の波紋は、政治的必要性の二次的な問題なのである。

中央銀行とその政策金利設定は、自由市場を管理する要であり、経済的問題がこのような結論に達するのも驚くべき事ではない。

10年来の低金利政策の付けで先進国の負債は巨大化し、欧州の社会モデルは肥大化した。そして、欧州各国の支払い能力を超えた負債を支えようと、世界中が高金利となってしまった。欧州連合加盟国は、統一通貨を使用しているために、金利調整が出来ない。ユーロ通貨諸国は“造幣”する事は出来ないし、欧州中央銀行の憲章に縛られ、通貨を調整する事も出来ない。そしてそもそも、ドイツはそれを好ましくは思わないであろう。

巨額の負債を抱える国にとって、ドイツのような順調なユーロ通貨連合メンバーからの救援が必須となる。

ドイツは、自ら財政予算を管理する権利を所有し、浪費家の欧州が彼らを破滅に追い込まなければ、このような国の救済に応じるであろう。

英国としては、問題山積のこの状態を好ましく思っていない。ドイツ合衆国またはドイツ支配下の欧州連合という概念自体がまず嫌いである。真の理由は地政学的な軽蔑以外ないのだが、もちろんこれも政治的理由に溢れている。他の理由としては、英国経済の20パーセントから25パーセントを占める金融セクターを、欧州が獲得するべく必死になっている様を感じるからである。

英国の政治家やメディアはここ数年、金融業界をあざ笑っているのでとても皮肉な事である。しかし、虐待配偶者のように、今、英国政府は裕福な妻を失うのを恐れている。欧州がロンドンから金融業界を奪い去り、失力した英国を半自治区として残しながら、全てをフランクフルトとパリに移し、ユーロを基軸とした欧州がその基礎の代表となり統合するという見解が怖いのだ。

投資家にとって疑問は山積する。果たしてこの政治的プロセスで欧州金融危機を救済出来るのか?またどう対応して投資すべきなのか?

今までの混乱の結果ははっきりと不況下のインフレ、「スタグフレーション」として現れる。欧州の殆どの国はGDPにおける政府歳出負担を軽減する金融緊縮案で、経済のバランスを取り戻そうとするであろう。最初は実体経済で容易に受け入れられない為、長期に渡り復興の兆しは見えてこないだろう。

間違いなくインフレが経済活動を高まる根拠となるが、山積した負債を消す為に、ドイツが欧州にインフレへの意義ある取組みをさせるかどうかは分からない。

インフレの度合いに応じて復興の長さが決定される。5パーセントから7パーセントのインフレ率だと5年の緊縮で改善され、2パーセントから3パーセントだと10年かそれ以上時間がかかる。

とりあえず、ユーロ通貨諸国が正式に政策に署名するか、国民投票を行うまで結論は出ないであろう。実際政策が可決されても、方向性によっては、破られるまでの政策となる。殆どの欧州各国に取り、10年もの経済停滞に耐えるのは非常に困難だ。という事で、この政策もそう長くは続くまい。

重要な経済指標はインフレ率で、それが上昇し始めると、投資家も真の復興の到来を確信出来るであろう。もしそうならなければ、欧州はユーロ高のまま日本のような経済の空白の時代に突入し、推測される限りの間、瀕死の経済状態が続く事となる。

欧州のソブリン債の利回りは上げ下げを繰り返し、政治家が合意するユーロ通貨諸国への資金供給を市場が拒否すれば、ユーロ通貨は壊滅し、欧州は1990年代に回帰するであろう。市場がスペイン、イタリア、ポルトガルそれぞれに、利回り5パーセント前後で資金提供する事に合意すれば、欧州合衆国時代の到来となる。

ハルマゲドン

誰もが本当に期待して望むもの、それは金融最終戦争―ハルマゲドン―だ。結果としてドイツは、欧州が深刻な負債から脱出するのに必要なインフレを引き起こそうとする欧州中央銀行(ECB)を阻止する為には、何でもするだろう。そうなると、脆弱な国々のデフォルトとユーロ通貨からの脱却が相次いで起こり、フランスのように経済的に頑強な国々の屋台骨さえも破壊してしまう勢いとなるだろう。金融信用が崩壊し、殆どの西洋諸国では負債の決済が出来ない状態に陥り、借り手に打撃を与えるであろう。更には、金融緊縮は制御不可能となり、レバレッジ停止のブラックホールが出現する。世界規模のデフォルトは拡大し、一般の銀行は破綻し、完全なる経済崩壊が起こるとなると、金融石器時代に逆戻りだ。景気後退、不況、そして世界戦争がそれに続く。米国のどこかで、金塊と缶詰食品とデザートを備蓄した古い考えに固執する気難し屋達は、自分達の正当性を祝うのだ。これら全ては、ドイツの偏執的な考えによって引き起こされるのだ。

弱い国は去る

金融緊縮に直面して、民主的な基盤を押し進める必要もなくなり、ぶた(PIIGS)、おっとさておき、 ギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペイン(欧州周辺国GIIPS)は、ユーロ債をデフォルトし、自国通貨を再導入するであろう。一見急激な変化に見えるが、つまり以前のビジネス形態に戻り、多額ではあるが、管理可能な範囲で借り入れをし、インフレという慢性的な手法で、時間を掛けて返済するという事だ。市場は愚かではないので、継続可能な高いレートで貸し、一方では、金融抑制が残りの事をする。以前もそれで効果があったので今度もうまく行くだろう。新しい自国通貨が崩壊し、自国の生活スタイルや物価が昔に戻る。混乱が2、3年続き、普通の状態の経済がそれに取って変わる。「デフォルト」となると、貸し手の記憶は曖昧だ。ロシアは1998年にデフォルトしたが、それがどうしたというのだ?おそらく10年後には、ユーロ通貨への再加入が検討されるに違いない。現在のユーロ通貨の状態だとこういうシナリオになるだろう。
脆弱な国が去ると、ユーロは堅調に推移し、まだまだ強くなるだろう。ユーロは強いので、弱い国は立ち去る事になるのだ。

強い国も去る

欧州はインフレを望んでいるが、ドイツは望んでいない。ドイツはマルクを愛しユーロに思い入れはない。ではなぜ、ユーロ通貨を離れて、残りの欧州にインフレを導入させないのか?第三者には理解に苦しむところだ。ドイツの見解も狂気じみていて、インフレは悪魔であり、ファシズムを産むと信じているようだ。不思議な事に、フランスでは18世紀に、パンの値段が社会革命を発明したと考えられている。そしてドイツでは、インフレがファシズムを産んだと考えられているのだ。ムッソリーニが異議を唱えそうな感じである。

実際にはドイツが、ドイツ、オランダ、フィンランド、そしてバチカンのみをユーロ通貨に残すという、欧州の決裂を生み出している。どうしていっその事、ユーロ通貨を辞退して、経済暴徒にまかせ、自国通貨を印刷させる道を取らないのか。ドイツは最愛のマルクを取り戻し、残りの国は、望みどおりインフレを導入することが出来る。これは債券の保有者にとって、どんな事態においても起こる債務削減に等しいのだ。ただ、玉にきずなことに、もしこういった事態が起こるとすれば、ユーロ通貨の価値は既に顕著なほど暴落しているはずである。しかし、今のところユーロは強気だ。

緊密なユーロ統合

ドイツとフランスはどうにかして皆を話し合いの席に着かせる。そして、各国に、中央支出の権限を放棄すべきだという理由を説明し、ブルッセルの中央監督にその権限を引き継がせようと企んでいる。同時に、最高責任者一人一人に、国民投票をする必要もないという事を説得している。欧州の経済は灼熱地獄をのぞき込んでおり、彼らは失職する可能性もあるため、“メルコジ”(メルケル首相+サルコジ大統領)による、欧州合衆国への大きな第一歩となる欧州統合強化に、同感しているのである。

ギリシャのような不安定な国々へは強制力が必要であるが、民主主義を侵害したり平和を揺るがすような民主主義運動であってはならない。そしてドイツは欧州全体の負債を事実上保証するだろう。見返りとして、PIIGSの喉元をつかみ、身動きが取れないようにして、PIIGSの支出方針の制御を穏やかにコントロールするのだ。

平常への回復

では、今まで実際に何が起こったのか?ギリシャだが、ここ何年も破産状態だったのは周知の事実で、国債の貸し手をひどい目に合わせ、多くの欧州の貸し手を震撼させた。

もはや誰からも借り入れが出来なくなり、その“プレイボーイ”的なライフスタイルを改める必要がある。ともに地中海的なプレイボーイであるイタリアとスペインも、体制を整える為に7%の利子を払い始めている。しかしこの金利はかつては正常な値と考えられていたのだ。もう1人の悪者は14%を払っていたアイルランドで、これは、英国とスウェーデンが一昔前に苦しめられた数値だが、現在では8%となっている。数週間前よりも格段低くなっている。

これは世界の終わりではないかもしれない。単に金利が長期的な正常値に戻って来ているだけかも知れない。

政治家達が長い話し合いを持つ機会を得る事が出来るのなら、予算をより適切に形作り、借金返済を開始するのに充分なインフレを誘導する事に着手し、怯えた借り手を安心させる為、収支手帳の帳尻を合わすのに最大限努力するだろう。そうすると、貸し手も現金を金塊で保有し、缶詰食品を備蓄しネバダ州の砂漠地帯に籠るのはちっとも面白くないと悟るであろう。特に米国は欧州よりさらに事態が深刻なのだから。

ユーロ債務危機が終焉を迎えたかのかどうかはもちろん、実際に始まったのかさえ判断することは難しい。ここ数日間の展望は全く叙事的である。アイルランド、ポルトガル、そして自滅したギリシャの救済は金融序曲さながらであり、イタリアを交えて、エキサイティングな音節へと登りつめている。しかし、実はオペラはまだ始まってもいないのだ。(159文字)

経済について限定すると、この世界の殆どの人は歴史的な瞬間を経験していない。皆さんは、平和と静寂な数十年間を過ごしてきている。このひどく恐ろしい状況は、必ずと言っていいほど悪化するだろうが、数世代前の人々にとっては、現在の状態は単なる波打ち際で音を立てている水にすぎないだろう。先進国の殆どの人は危機の本当の意味を理解していないが、だからといって危機がやってこないわけではないのだ。

嵐の前の静けさの欧州

カウボーイがインディアンの領土にキャンプを張ると、民兵隊の老人は、「いや本当に静かだ。静かすぎる程静かだ。」と言う。この静けさが、これから起こる戦いの前触れなのである。

先週はまさにそうだった。静寂の週。特別な会議もなければ、強さと連帯を示す特別のショーもなかった。指導者が台の上に立ち、「危機はここで止まる。」と発表する事もなかった。その代わり、提案された内容がマスコミから漏洩してしまうという事があった。

特定の観点から、これは歓迎された。すべての二流の欧州政府体質者達は、 ユーロ債務危機についての個人政策発言を通じ、さらに混乱と狼狽を物語に追加してしまった。現代の政治では、救世主なる者のみが発言し、そして皆それに合意する。これに反すると、国家レベルでの政治生命は終わってしまうが、欧州レベルでは、この法則は既に崩壊してしまっている。

この新たな静寂は、恐怖が現実のものになってきているから起こっているのだ。実際、現実に直面すると、人々は、誇張された言葉で後世語り継がれる事を恐れるものだ。

ドイツの本当の内情

ドイツは、超低金利を享受しており、債券保有者はドイツの安全性に駆け込んでいる。欧州の経済大国であるために、皆ドイツを混乱した欧州の救世主として見ているのだ。そのドイツも、経済の要塞とは言われていても、多くの推定論がそうであるように、実際のところは調査するとそうでもないのである。

ドイツは正確には破産してないが、GDPの 80%の負債を負っていて、そのGDPの 40%は政府支出であるため、実質のGDPの 150%が負債である。GDPには政府支出が含まれるが、政府は富を生産する事はなく、富を再配布するだけである。債務は民間部門の税収から返済され、GDPの 数字は驚く程誤解されていて、負債は実際にはもっと多いのである。

欧州という一枚布にほころびが生じると、債券の買い手はもはや、2%ではドイツ債券を熱心に購入しなくなってしまった。ここまで来ると、現金をCDS(クレジットデフォルトスワップ)することが出来、現地通貨の基盤が崩れることがない国へ持ち出す方が賢明だろう。

しかし、これにあまり夢中になるべからずだ。というのも、今年の始め、ドイツは10年債に3.5% の金利を払っていたため、実際には貸し手も2%という数字に尻込みしていて、驚く事ではないからだ。

しかしながら、これは債券危機という骨張った指先が、非PIIGSの経済という肉を傷つけ始めた事を意味している。フランスは明らかに、伝染病の発症を感じていて、フランスが駄目になると、最終ゲームが開始される。

不思議なのは、どうしてドイツはフランスを安全地帯に引き上げないのかということだ。そうした事を考えると、益々ドイツ自体が安全逃避の場所だとは感じていない、という結論にたどり着く。ドイツは誰も救えないどころか、自分を守る事で精一杯なのだと。一方では、米国にはそのような不安はない。欧州でドルの資金を入手出来るようにするため、ドルのスワップ機能で救助に乗り出しているからだ。この手の大きな明るい見通しは、欧州がドイツから期待していたものだが、そんな事はまず実現しないだろう。

欧州メルトダウンの始まりか?

ドイツは崩壊していないが米国はしている、と皮肉をいう人もいるだろう。米国の破産した紙幣で出来た大建築物は、約束という言葉だけの後ろ盾に支えられつつも、つじつまを合わせ、なんとか建ちながらえている一方で、昔ながらのスタイルで経済を安定させ、慎重な経済姿勢を保つ事で、ドイツはバランスを取って来た。しかし、もし取引相手国が潰れてしまえば、ドイツは非常に苦しむことになるだろう。そして債務への資金提供のために7-9%の金利となり、景気後退に見舞われるだろう。

前述の話は既に過去のもので、現在のドイツ政府だが、欧州を救済すれば、その力を失うだろう。国民の希望に反し、正しい事をするという原則に基づき去っていく政治家も出てくるだろう。

私たちが奇跡を祈る一方で、欧州は、今からイースターの間には、金利上昇というゆっくりとした雪崩により、メルトダウンするであろう。オペラと同様で、このドラマにはハッピーエンドがなさそうだ。ソプラノ歌手のメルケル首相は、劇の構想中に自分の演技がもたらす結果に集中すべきなのだが、そんな事はしないだろう。

ギリシャの問題は周知の事実となってしまった。国は破綻し、殆ど合法的には債務不履行に陥っていて、事実上、連帯国家としての政府は危機的状況にある。

次の危機はイタリアで起こっている。
イタリアとスペインが崖の縁に立たされていて、ECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)、サルコジ大統領、メリケル首相も、ギリシャでの“小さな”問題はもう忘れ去ってしまっているかも知れない。もしイタリアとスペインが奈落の底に落ちるのならば、フランスも多分それに続くであろう。

もしフランスが崩壊すれば、他国の国債の貸し付けに打撃を与える事となり、今までで経験した事のない、世界全体の経済が機能不全となる可能性がある。

最近開催された経済サミットで、米・英国が驚きの反応を隠さなかったのも不思議ではない。

ドイツは、ECBが欧州全体に蔓延する負債に対し、インフレという燃料を注入して解決するという案を通さなかったし、EUが制御不能な負債の再調整に着手する事も拒否している。ドイツは暗黙的に、1920年、30年代をくり返すリスクを避けているのだ。ドイツは欧州全体がメルトダウンする条件を作っているように見受けられる。

今後の世界市場の動向が予測出来ない状態にあり、株価の激しい動きが際立っている。NYダウ、DAX、Cac 40、そしてFTSEにおいては、全て振れ幅が大きくなっている。市場は、先物取引であれ、FX、債券、オプションであれ全てトラウマに陥っている様子だ。

市場は回復するのか?それとも破綻するのか?それはまだ分からないようだ。

どうして現在このような状態なのか。その主な理由は、最悪の事態に陥った時に起こりうる事の、とてつもない規模の大きさだ。

ヨーロッパが、政治的な駆け引きの為に市場を破綻させる事はありえないと誰もが確信している。しかしながら、ヨーロッパ信用危機への明確な解決策は未だに打ち出されてはいない。“狂気”は混迷の状態からの解決の糸口を見つけられない時に起こると言われている。

この混乱から抜け出す方法が見つからない場合の結果を恐れ、市場は混乱してしまったのだ。

ユーロとソブリン債務危機、それから米国の二重債務不履行、この三つの問題だが、全体像の一部としては、まったく関係性が見えて来ないとこれまで色々言われてきた。しかし、この三つの絡まりは非常に強いので、全体像の一部として考えられるべきである。この全体像の背後には、欧州、米国、そして発展途上国間の慢性的なトレード不均衡が存在するのだ。

一兆ドルを超える先進国の資金は、貧しい国々を優遇するというトレード不均衡の為に、毎年最終的に発展途上国に流れ着く。もはやその資本の流れは津波のようだ。先進国は飲み込まれ、まさに崩壊寸前の状態である。

西欧諸国の政府は、現金供給を活性化する為に、債権を使う新しい方法を発明し利用し続けて来た。持続不可能になるまで、投資で設けた資金を利用しながら、先進国への投資を長期的に続けてきたのだ。

しかし、このサイクルは金融恐慌で終焉を迎えた。クレジットの波が引くと、欧州と米国の予算は、危険な経済的満潮ラインに残されてしまった。先進国の経済は取り残され、つぎの潮の流れに再び乗れるように待つしかなくなったのだ。

だが残念な事に、見渡す限り、次の波は見えて来ない。

今朝の様子からすると、次の金融恐慌の始まりのように思える。東京、オーストラリア、シンガポールなどのアジア全体の市場は2~3%も下落した。

イギリスFTSE指数は2%下落して始まり、ドイツとフランスの指数は、主要なテクニカル・サポートレベルを突き抜けて、急降下もあり得る状態となっている。 欧州中央銀行(ECB)や米国家、ドイツまたはフランス政府のような権力による「驚くような」対策を持ってしか、経済の大揺れと’金融恐慌パート2’ともいえる市場は救えないだろう。

9月11日(金)のCNBCアジアにてコメント:

http://video.cnbc.com/gallery/?video=3000044638

ここ2年、夏になると、大きな反発やクラッシュが起きている。原因を解明しようと議論はされるが、ふた夏とも、はっきりした理由は分からないままだ。

ヨーロッパの問題が原因と言えば非常に説得力はある。もしユーロが崩壊したら混乱を引き起こすからだ。しかし、実際のところ、ユーロはそれほど下落していないので、この説明には当てはまらない。

ユーロが強含みの中、将来崩壊する恐れがあるという理由で市場がクラッシュするだろうか?全くおかしな話だ。この論理を進めるには、ユーロが弱くなくてはいけないが、実際のところ、ユーロは強い。

では、今、市場で何が起こっているのかを推理してみると、増刷されているドルが、中国やインド等の債権国に流れ着いているのが分かる。

もし皆さんが中国やインドの立場だとすると、どう対処されるだろうか?皆さんは、制御不能な財政に苦しむ国の、巨大なドル袋を抱えている。誰の目にも明らかな程、ドルの価値は減る一方だ。そこで、親切な投資銀行に電話してみると、銀行は一年分の全額5000億ドルをヘッジしてくれると言うだろう。

そうすることによって、金、円、スイスフランなど、ヘッジに使用するものに対して色々と混乱を引き起こすだろう。でもひとつだけ言えるのは、米国が破産する時には、この巨大なドル袋を抱えていたくないという事だ。米国には、一家族につき20万ドル程の債務があり、その額は急速に膨れている。紙吹雪同然の米ドルを他の資産に換える事が出来るのならば、市場を混乱させる事など構わない。

今現在、前述のような事が市場で起こっているのだと推測する。だから、問題が山積するユーロでさえも、米ドル切り下げからの安全への回避場所となっているのだろう。

ところで、米国の有名なギャンブルの都、ラスベガス、別名「罪の街」から悪い知らせがある。

個人的経験に基づくのだが、ラスベガスで、一国に特化した外国人をたくさん見かけた翌年には、その国の経済がことごとく打撃を受けてきた。例えば、ロシアがデフォルトする前年には、ロシア人の集団がはびこっていたし、アジアの金融恐慌が起こる前年には、タイ人と韓国人の集団が群れをなしていた。今年ラスベガスでどんな集団を見るかで、翌年のその国の経済が火の車となる。1999年にはオタクがはびこり、さて、翌年何が起こったか?ドットコム・ブームのバブルが弾けた。

さて、ここからが怖い話。先週末、ラスベガスは日本人で溢れかえっていた。ラスベガス家電ショー(CES Show)以外でこんなに多くの日本人を見かけた事はなかったので正直驚いた。地元の人に聞くと、日本人はギャンブルはせず、写真だけ撮るという。それで満足なのか?そんな事はないだろう。

日本の国家の負債はGDP率にすると200%となり、一家族毎の割当は正常値からかけ離れている。これは、アイルランドとポルトガルが、順調に回復しているように思える程の悪い数値である。日本は特別で大丈夫だと色々と弁明されているが、個人的にはそうは思えない。おしゃれな日本人がベラジオのカジノを闊歩するのを見たその日、小さなオーメン・ノートに 「2012年、日本の債務危機が列島を震撼させる。」と書き記した。

もしそうなったら、日本の従来の政治と経済のシステムは崩壊するだろう。難問を抱える事となるが、同時にそれは、千載一遇のチャンスでもある。結局、今年ラスベガスで大量の日本人を見て良かったのかも知れない。日本では今多くの変化が求められている。特に若い世代は変化を所望している。

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